「カスタードクリーム」と「メレンゲ」を使ったお菓子は、卵アレルギーの方にとって、特に気を付けてほしい代表的なものです。わが子は焼き菓子に含まれる卵は食べられるようになりましたが、カスタードクリームとメレンゲは主治医から食べないようにと言われています。
その理由を、卵アレルギーを理解するうえで知っておきたい「加熱時間・温度」と「卵白」の話から解説していきます。※記事の一部にプロモーションを使用します
卵アレルギーと加熱時間・温度の話
卵アレルギーと診断された方が負荷試験をおこなう場合、最初は加熱卵から始めて、段階を踏んで加熱の度合いをゆるめます。その理由は、卵は「加熱時間」「加熱温度」「調理方法」によってアレルゲン性が大きく異なるためです。
鶏卵は加熱により、アレルゲン性が低下する。アレルゲン性は、加熱温度や、加熱時間、調理方法によって異なる。このため加熱卵が摂取可能でも、生卵や半熟卵などの摂取には注意する。
国立病院機構相模原病院 臨床研究センター アレルギー性疾患研究部 食物アレルギー研究会
加熱時間が少なかったり、加熱温度が低かったりすると、アレルギーが起きやすくなります。ちなみに、私がわが子の負荷試験用に作る茹で卵は「沸騰した状態で20分茹でたもの」です。
卵のアレルゲン性が低くなる条件は他にもありますが、生に近づくとアレルゲン性が高くなると知っておきましょう。
卵アレルギーと卵白の話
卵アレルギーの方は負荷試験を卵黄から始めることが多いです。これは卵アレルギーを引き起こすアレルゲンが主に卵白に含まれるからです。
鶏卵アレルギーは卵白のアレルゲンが主原因であり、卵黄から除去解除されることが多い。
国立病院機構相模原病院 臨床研究センター アレルギー性疾患研究部 食物アレルギー研究会
卵アレルギーの場合、卵白を使ったお菓子は特に注意が必要です。もちろん、卵黄なら大丈夫というわけではなく、卵黄のほうが症状が出やすいアレルギーもあります(消化管アレルギー)。
参考:食物たんぱく誘発胃腸症(消化管アレルギー) | 国立成育医療研究センター (ncchd.go.jp)
カスタードクリームとは
一般的にカスタードクリームは、卵黄と砂糖を混ぜ、小麦粉(もしくはコーンスターチ)を加え、温めた牛乳で伸ばして作ります。シュークリームやエクレア、クリームパンの中に入れて味わいます。
日本安全食料料理協会
他にも、タルト型の上やミルフィーユの間に使うこともあります。鯛焼きや今川焼きなど和菓子の中に入っていることもあります。
カスタードクリームには卵が含まれています。上記の説明の通り、加熱温度は高くなく、加熱時間も長くありません。一般的に卵黄を使いますが、卵白と完璧に分離できるわけではないため注意が必要です。
カスタードクリームはシュークリームに入っているイメージが強いですが、鯛焼きなど、さまざまなお菓子に使われています。わが子は主治医から食べないようにと言われています。
メレンゲとは
メレンゲは卵白を主原料にしたお菓子です。メレンゲもわが子が主治医から絶対に食べないようにと言われているお菓子です。
メレンゲには「フレンチメレンゲ」「スイスメレンゲ」「イタリアンメレンゲ」の3種類があり、製法は非加熱、湯煎、熱したシロップを加える、という点で異なります。加熱してあるものでも、時間は短く温度も低いです。
メレンゲは、そのままクリームやムースに加えたり、焼いてケーキの土台にするなど、さまざまな用途で使われます。そのまま使っている場合は、加熱時間・加熱温度が足りないこと、卵白が主原料なことからリスクが高いです。
また、焼くと言っても時間をかけて低温で水分を飛ばす方法が使われるようなので、卵アレルギーの方に十分な加熱時間・加熱温度とはいえないと推測します。
参考:メレンゲの作り方 コツを知るためにまずは基礎知識を (ainone-memo.com)
メレンゲを使ったお菓子は多い
メレンゲを使ったお菓子はたくさんあります。
メレンゲを使った代表的なお菓子
- メレンゲクッキー
- マカロン
- マシュマロ
上記のものは見分けようがあるのですが、クリームに混ぜていたり、ケーキの土台に使っていたりするものを見分けるのは至難の業です。不安があるときは問い合わせたほうが安心ですね。
誤食を防いで!「カスタードクリーム」と「メレンゲ」はリスク高めと覚えておこう
カスタードクリームやメレンゲは、卵を使った料理の中でも見過ごされやすいです。見た目からすぐに卵を連想できないことや、製法が知られていないことがその理由だと思います。
一方でカスタードクリームやメレンゲを使ったお菓子は見た目が可愛らしく、食べやすいものが多いので、知らずに食べさせてしまう(食べてしまう)ことも多そうです。
卵アレルギーの方や、まだ生卵(や加熱時間の短い卵)を食べたことがない方、卵アレルギーの方と接する機会が多い方には、「カスタードクリームとメレンゲは卵のアレルゲン性が高く危険」とぜひ知っておいて欲しいです。