食物アレルギー

「アレルギーテスト済みの化粧品だから安全」は間違い!アレルギーテストの内容と目的とは【食物アレルギー】

日焼け止めに含まれるアレルゲンについてXに投稿したところ「アレルギーテスト済みだと書いてあるから大丈夫だと思っていた」とコメントをいただいたことがあります。そこで、日焼け止めやリップ、化粧品などに書かれている「アレルギーテスト」は何のためにおこなわれるのか、どのような内容なのかを調べてみました。

※一部にプロモーションを含みます

アレルギーテストはどんな内容?

「アレルギーテスト」とはどのようなテストなのでしょうか。実は、化粧品等のアレルギーテストは義務ではありません。テストの内容もメーカーによって異なると思いますが、一例として資生堂のアレルギーテストを紹介します。

資生堂ではヒトによる最終試験として商品によって「①パッチテスト」「②スティンギングテスト」「③使用テスト」「④敏感肌パネルによるパッチテスト」「⑤アレルギーテスト」「⑥コメドジェニックテスト」「⑦眼科医テスト」「⑧ヒト光アレルギーテスト」などをおこなっています。

このうち、アレルギーテストの内容は以下の通りです。

皮膚に対するアレルギー性を評価するために行います。
原料や製品を背部に3週間で計9回24時間閉塞貼布した後、2週間の休止期間をおいて再度閉塞貼付し、皮膚に反応が出るかを確認することで、アレルギー性を評価します。
※本テストで陰性を確認した製品には、「アレルギーテスト済み」と表記されます

資生堂|安全性の保障体系 アレルギーテスト 

このテストの内容を見ると「食物アレルギーの人でもアレルギーテスト済みなら大丈夫、では断じてない!」とわかります。原料や製品にアレルギーがない人に検査をしても陰性になるからです。

食物アレルギーの人を対象に検査をしているわけじゃないもんね…

そもそも食物アレルギーといってもアレルゲンは人によってさまざま。すべてを対象にした検査は無理ですよ…

対象者をしぼっているという点では、感覚刺激に敏感な被験者を対象にしたスティンギングテストがそれにあたると思います。資生堂のスティンギングテストは以下の内容です。

赤みや腫れなどの炎症症状をともなう刺激ではありませんが、かゆみ、ほてり、ひりつき、痛みなど製品の使用中に不快となる感覚刺激(スティンギング)を評価するために行います。
あらかじめ感覚刺激に敏感な被験者を選抜しておきます。選抜された被験者の頬に、一定量の製品を塗布し、決められた時間ごとに刺激感の症状と程度を被験者が記録します。終了後に解析を行い結果を判定します。

資生堂|安全性の保障体系 スティンギングテスト

ちなみに「パッチテスト」の内容は以下の通りです。

原料や製品の皮膚に対する刺激性を評価するために行います。
パッチテスト用絆創膏上に、原料や製品を一定量のせ、前腕屈側部や背中に24または48時間貼付します。絆創膏を剥離した後、貼付部分の赤みや腫れなどの反応を熟練した判定者が観察し、判定します(必要に応じて皮膚科医が判定する場合もあります)

資生堂|安全性の保障体系 パッチテスト

その他のテストについても、ぜひホームページで内容を確認してみてください。すべてのメーカーがこれほど詳細なテストをおこなっているわけではないと思いますが、参考になるのではないでしょうか。

参考:安全性の保証体系 | 安全性の保証 | 研究 / サプライネットワーク | 資生堂 企業情報 (shiseido.com)

アレルギーテストは安全を保証するものではない。表示にも厳しいルールが定められている

化粧品等のアレルギーテストは義務ではなく、アレルギーテスト済みと書いていない化粧品等も存在します。では、アレルギーテストを実施する目的は何なのでしょうか。

安全性の確認等、さまざまな理由があると思いますが、その1つに「アレルギーテスト済み」であることをPRとして使うため、もあると思います。実際「アレルギーテスト済みなら買おうかな」「アレルギーテスト済みなら低刺激なのかな」と商品選択の決め手になることも多いですよね。

過剰なアピールから消費者を守るため、化粧品や医薬品の表示には厳しいルールがあります。「アレルギーテスト済み」と表示することにも、当然厳しいルールがあります。以下の内容です。

化粧品等で、「アレルギーテスト済み」、「ノンコメドジェニックテスト済み」、「皮膚刺激性テスト済み」等の表現を行う場合には、次に掲げる全てを満たすこと。
① キャッチフレーズとなっていないこと。
② デメリット表示が記載されていること。
③ デメリット表示は「アレルギーテスト済み」等の近傍に記載されていること。
④ デメリット表示は「アレルギーテスト済み」等の文字と同等程度の大きさで、目立つように記載されていること。
[デメリット表示の例]
・「全ての方にアレルギーが起こらないということではありません。」
・「全ての方にコメド(ニキビのもと)が発生しないということではありません。」
・「全ての方に皮膚刺激が発生しないということではありません。」
また、「ノンコメド」等の語句のみを広告・表示に用いることは、消費者に対して効能効果に対する誤解を与えるおそれがあるので行わないこと

 医薬品等適正広告基準 第4の3(5)
日本化粧品工業連合会化粧品等の適正広告ガイドライン2020年版

「アレルギーテスト済み」であることを表示しても良いけれど、「全ての方にアレルギーが起こらないということではありません」等デメリットも必ず書かなければなりません。確かに手元にある商品にも同じ一文があります。

全ての方にアレルギーが起こらないとは書いておらず(書くと違反です)、当然、アレルギーテスト済みだから安心、とはいえません。これは食物アレルギーの有無とは関係なく、すべての人に言えることです。

アレルギーテスト済みだからといってアレルギー症状が出ないわけではない

アレルギーテスト済みだからと言って、アレルギー症状が出ないわけではありません。商品にもそのようなことは書いていません。

食物アレルギーがあるなら、まずは成分を確認し、明らかにアレルゲンが含まれる場合は使用しないことを徹底すべきです。そして、不安があればアレルギーの主治医に相談しましょう。

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