ヴィーガンの定義をおさらい「食物アレルギーでも食べられる」には注意が必要

公開日:  最終更新日:2024/02/19

ヴィーガンスイーツやヴィーガンレストランを説明する文中に「食物アレルギーの方にもおすすめ」という文言をよく目にします。また、ヴィーガンと食物アレルギー対応を混同した内容の記事を見ることも多いです。これっていったいどういうことなのでしょうか?食物アレルギー当事者の視点から調べてみました。

ヴィーガンとは「完全菜食主義」のこと

ヴィーガンとは、肉や魚を摂取しないベジタリアン(菜食主義者)の一種です。ピュアベジタリアンとも呼ばれ、肉や魚に加えて、卵・乳製品、はちみつといった動物由来の食材を摂取しません。

動物愛護の観点から盛んになったヴィーガンですが、近年ではSDGsや環境保護を意識したライフスタイルとして実践する人が増えています。本来のヴィーガンの定義では、食べ物だけでなく、革製品など生活全般において動物由来のものを選ばないとされているようです。

食物アレルギーとの違い①「食べられない」のではなく「食べない」

ヴィーガンの方は動物性由来の食べ物を食べられないのではなく、自らの意思で食べないことを選んだ人です。食物アレルギーの場合は該当するアレルゲンを食べると症状が出て、場合によっては命の危険もあります。この点が最大の違いです。

食物アレルギーとの違い②「動物性由来の食べ物」以外のアレルゲンは該当しない

食物アレルギーから多くの人が連想する代表的な原因食物は「鶏卵」「牛乳」「小麦」でしょう。実際には、表示義務のある特定原材料は、えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生の8種類あります。特定原材料は原因食物のなかでも発症数が多く、重篤度が高いため、食品に表示することが義務付けられています。

表示義務はありませんが、表示が推奨されている特定原材料に準ずるものは、アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンです。

このように食物アレルギーの原因となる食物は動物性、植物性を問わず多岐にわたっており、ヴィーガンと重なる部分はごく一部。「食物アレルギーの方も食べられる」と一概には言えないのにはこうした理由があります。

食物アレルギーの方がヴィーガン食を食べるときの注意点

食物アレルギー対応とヴィーガンには重なる部分と大きく異なる部分があります。食物アレルギーの方がヴィーガン食を食べるときには注意が必要です。

ヴィーガン食は食物アレルギー対応食品ではない

食物アレルギー対応食品と銘打っている場合、同一工場内で該当するアレルゲンを使用した製品を作らないなど、徹底してアレルゲンを除去していることが多いです。これは食物アレルギーの方が該当するアレルゲンを食べた場合、命の危険があるからだと思います。

ヴィーガン食は食物アレルギー対応食品とは違います。通常の食品を選ぶときと同様、原材料表記から該当するアレルゲンが使われていないことを確認し、コンタミのリスクを考慮したうえで選ぶべきだと考えます。

ヴィーガン食はヴィーガンの考え方を選んだ方のものであり、食物アレルギーの方を一番の対象にしたものではありません。こんなことを言うと怒られてしまうかもしれませんが、万が一、動物由来の食べ物が混入していたとしても、ヴィーガンの方の命に即かかわることはないでしょう。卵アレルギーや乳製品アレルギーの方の場合は、即、命にかかわります。

卵や乳製品アレルギーの方にとってヴィーガン食やヴィーガンレストランが重宝する場面は多いです。食物アレルギー対応ではない点を頭に置いて利用すれば、とても便利な存在だと思います。

小麦はヴィーガンの対象外

ヴィーガンでは動物由来の食物を食べません。食物アレルギーの原因食物として代表的な小麦は植物性なので対象外。小麦は使われているので気を付けましょう。

ナッツ類の使用が多い

特定原材料にくるみが追加されたように、近年、ナッツ類の食物アレルギーが増えています。特定原材料に準ずるもののなかには、アーモンド、カシューナッツも含まれており、食物アレルギー当事者の間ではナッツ類は要注意食物です。

ヴィーガン食にはナッツ類が使われていることが多いと感じます。ナッツ類にアレルギーがある方は注意したほうが良いでしょう。余談ですが、ピーナッツはナッツ類ではありません。

ヴィーガンと食物アレルギー対応は重なる部分も多いが根本的に違う

食物アレルギーとヴィーガンを混同する発言は、アレルギー当事者以外から出ることが多いです。食物アレルギー当事者としては「ちょっと待って」と言いたくなるようなこともよくあります(ヴィーガン給食を取り入れて食物アレルギーに対応する等)。

ヴィーガンと食物アレルギー対応は重なる部分も多いですが、根本的に違います。

ヴィーガンを実践したい方を止めるつもりは全くありませんが、食物アレルギーを理由にヴィーガンを実践するという方には違いを知ってほしいと思います。食物アレルギーの治療において、不必要な除去は避けたほうがよいとされているからです。栄養のバランスを取る面でも苦労します。

一方で、動物性の食物にアレルギーがある方にとって、ヴィーガンレストランやヴィーガンスイーツはとても有難い存在です。違いや注意点を知って上手に活用すれば食の楽しみが広がりそうです。

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