
※この記事は2011年2月27日に執筆したものを訂正、加筆、再掲したものです
息子は乳児期から小麦アレルギーですが、一般的な小麦アレルギーとは違う、変わった経緯を辿っています。始まりは乳児期の酷い湿疹。血液検査の結果、ほとんどの食べ物が陽性となり小麦を含む複数の食べ物の除去が始まりました。
血液検査の数値が高く皮膚症状もひどかったため、小麦を食べることなく2歳になりました(2000年代初期なので現在と治療の進め方が違うかもしれません)。その後、焼きそばを誤食しても症状が出なかったことから、経口負荷試験を行うことになりました。
息子2歳時の小麦アレルギー状況
息子2歳時の血液検査データは、
- 特異的IgE 1256
- 小麦 53.90(クラス5)
数値が高いため負荷試験を行う予定はありませんでしたが、自宅で焼きそばを一口誤食する事件が起きたときに何の症状も出なかったことから、血液検査に加え、小麦のみ皮膚テストを行いました。結果は見事に腫れました。
その後、2回目の小麦負荷試験でうどん2cmを食べて症状なし。自宅摂取のGOサインが出たので、その後5cmにチャレンジ。やっぱり何の症状も出なかったため、週2回の摂取を進めていくことになりました。
息子2歳時のアレルギー血液検査と負荷試験の結果の差に悩む
血液検査はもちろん皮膚テストでもはっきりと陽性なのに、例え少量でも食べられるというのはどう考えていけばいいのかなと…このときは悩みました。この時点で息子は米、大豆、小麦、乳、卵、そして魚も除去(または代替食)していました。米はAカットを卒業してゆきひかりです。ここまで食事の制限が多いと、食べられるのであればどんどん食べさせたいというのが本音でした。
血液検査を目安にして負荷を進めるのが安全なやり方なのかなとは思うのですが、クラス5で皮膚テストでも腫れたら、普通は食べさせませんよね。「焼きそば誤飲事件」がなければ、小麦の負荷なんて小学校に入るぐらいまでしなかったかもしれません。
迷ったので聞いてみた。血液検査をすることの意味
「血液検査で陽性でも食べられるのであれば、血液検査をする意味はあるのだろうか」そんな疑問をそのまま医師にぶつけてみました。
「血液検査の数値が下がれば、食べられる可能性は上がる」絶対ではないけれど、これは確かだそうです。 「血液検査で陰性だから絶対食べられる」「陽性だから絶対食べられない」ということはありませんが、 血液検査の結果は負荷試験をするかしないかの目安にもなります。
息子2歳時に思い描いていた解除への道筋
小麦が順調に進んでくれれば、次は米をクリアにして、その後、大豆などの調味料系を片付けていきたいと考えていました。卵や乳との長い付き合いは覚悟していましたが、魚も進めていきたいと思っていました。この後、米、調味料は代替食を食べる必要がないと分かり解除。
この時点で少量の小麦ではアナフィラキシーを起こさないと分かり、お友達のスナック菓子に神経を尖らせなくて済むようになったので気持ちはずいぶん楽になりました。
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息子10歳時、小麦アレルギーは…
息子が10歳時の血液検査のデータは以下の通りでした。
- 特異的IgE 820
- 小麦 0.81(クラス2)
- ωグリアジン 0.05(陰性)
数値はかなり下がりましたが症状が出ることがあるので解除できていません。ただし大量に食べなければ蕁麻疹はでなくなってきました。ラーメンを1杯たべて替え玉をすると出る確率は高いですが、1杯ぐらいなら大丈夫なことも。
一方で餃子の皮で蕁麻疹が出ることもあり、空腹時に食べた場合、食べた後に暴れまくった場合など、さまざまな条件が蕁麻疹の出現に絡み合って、正直「ワケ分らん!」という状態した。
この時点では「食物依存性運動誘発アナフィラキシーではないが、腸の運動が活発になると出やすい。運動する前は食べないように」と診断されていました。「食物依存性運動誘発アナフィラキシーではない」の根拠はωグリアジンの数値の低さです。主治医の診断は「食物依存性運動誘発アナフィラキシーよりも、小麦を食べすぎて出ているのだろう」という感じでした。
息子15歳時小麦アレルギーは…

息子が12歳のときに、主治医が変わりました。たまたま代理で診ていただいた先生の話が分かりやすく「この先生に診ていただきたい」と思い、病院はそのまま、主治医だけ変わった状態です。
小麦はラーメンを替玉しても、お替りして4杯食べても動かなければ症状が出なくなりました。症状が出ないので血液検査は行っていません。ただし、運動をすれば高確率で蕁麻疹が出ます。主治医に細かく説明したところ、「食物依存性運動誘発アナフィラキシーの可能性が高い」「子どもの場合、ωグリアジンの数値はあまりあてにならない」ということでした。
中学校入学で運動量が増大、運動誘発を意識して対処
12歳の診断以前も運動には気を付けていましたが、「食物依存性運動誘発アナフィラキシーの可能性が高い」と言われて以降は特に気を付けています。ちょうど中学校入学と同時に運動部に入るタイミングだったので、この診断で学校にも説明しやすくなり、うまく対処できました。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの診断を確定するには入院負荷試験が必要ですが、本人の気持ちが整わずまだ実施していません。本人曰く「小麦食べて運動したら蕁麻疹が出るのはわかっているのにしたくない」「診断がつかなくても今でも運動前は食べないようにしている。診断がついてもつかなくても同じ」とのことで、本人の気持ちが整うまで待っている状態です。高校の間にしようかと話をしています。
小麦アレルギー15年の経過
息子の小麦アレルギーの経過は「完全除去」→「誤食」→「負荷試験で食べられることが確認される」→「徐々に食べられる量が増える」→「食後に動いたり空腹時に食べると蕁麻疹が出やすいと分かる」という経緯を辿っています。
「運動」という要素を無くして考えると、2歳の頃は少量でも蕁麻疹が出ていたのに、小学1年生の頃には初めてラーメン屋さんで外食でき、15歳の今はラーメンを4杯お替りするほどになりました。麵が大好きなので、少しなら食べられることがわかって以降、ずっと食べ続けてきました。15年間で食べられる量が増えていることは確かです。
成長に伴って、自分で判断して食べる機会が増えます。食物依存性運動誘発アナフィラキシーは運動と食べ物をずらせば付き合えるものです。なかなか難しいですが、息子自身が上手に付き合えるようになり、且つ、食べられる小麦の量が安定してくれると良いなと考えています。